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脳内世界地図ミクロ -楡井ズム増刊号-

 
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即興詩篇

『緋虫の華』

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 ゆうことを聞かない娘を
 折檻するようでは全然足りなくて
 すぐに覚える怪談話を
 聞かせることもある。

 ところが中学に上がって
 育ててもらった恩義はとうに忘れ
 どこぞのうまのほねに
 愛想をよくする始末。

 バンドマンだという男を
 わざわざ家に呼ぶつもりはないが
 娘よ。思い出してくれ
 母を喪った父の愛を。

 きみに贈った緋色の薔薇
 きみの母さんを奪った棘は
 父さんが拵えた毒ではない
 家族を引き裂いたのは
 どこぞの男が飼い放した
 愛を喰らう宿り虫の類なんだから

 私が憎まれる謂れはなくて
 むしろ
 絆を強くしたと思われたい
 それでも煙たがるのなら、と
 あの薔薇を贈ったのだ
 あの緋色の薔薇を

 母さんの首筋から滴った血潮ではない
 男の胸元から噴きだした血しぶきでもないよ
 きみが 夕べ 気がついた
 女の子のあかしが染みついたわけでもないよ
 それはきみたちを奪われた
 父さんが飼い馴らした緋色の虫を焦燥させた

 微塵の屍を捏ね集めて花瓣の形に整えさせた
 薔薇だよ。


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