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脳内世界地図ミクロ -楡井ズム増刊号-

 
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即興詩篇

『歪んだヴォルケヰノ』

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右手には海 左手には神 挟まれて動けない火と泥土の志士

行動倫理は埋もれた苦悩 翼のもがれた天使の養分
とどのつまりは奇天烈な相撲 土俵際で白鯨を負んぶ

 ここに来た探険家たちは口を揃える。どうせ飽くなき欲望の蟻塚に、与えてやる糖分もなかろうと。
 果たして訪れた跳躍する馬車が、産み落とした琥珀色の死屍から、溢れ出てくる蜜は薔薇の香。
 これは天女の報酬だと兄尾根が云い、否、聖母の餞別だと弟嶺が指を差し伸べる。
 暈、空にかかり、陽は隠れ、暗い林道を行く旅人の舟。
 ある者は腹を割かれ、またある者は肩を抉られ、大半は呼吸を忘れ、血眼で会話をしている愚者どもの隊。
 樹々統べる奥地はとうに消え失せ、いまここに残りしは不毛の男どもの腹のうえ。
 餌には事欠かないがどうせ残量の僅かな炎、ここで仕留めず誰が儲かる。
 槌を巧みに操る劣等生。枯れ木を燃やす鬼子母神。焔の竜巻に乗り、旅人の胃袋を灼く策士の陣。


内は漆黒 外は紅蓮 二度焼きされた人々の仔

湯気は体液の亡霊か 腐臭は砕けた脳細胞か
とどのつまりは無碍なる銘菓 大味も饐えた酸味を謳歌

 風は去り、人も去った。残ったのは悪しき夕暮れと幾許かの魂の抜け殻であり、それは土中の昆虫にでもくれ税を納めよと皆に云う。
 呑気な孑孑である。乳呑み子の撞着であり、然るべき特権である。母は触角を預け、血を啜りに来、最早これまでと四肢を持て余し、祠に身を投げる。
 なくても善い夏は幸いで未だ活火山は寝惚けているから、胎児は母の死を見届けることもなかろう。
 母の骸を寝袋にして、蛹になる。なかは灼熱、溶岩の如し、蕩け微睡み天使は育つ。


天上は戦火 地下は荒河 作用とは浸蝕のことではなく蒸発の類である

夢もうつつも加熱した配慮 滑らされて炙られた骨の軋む音
とどのつまりは滅した廃炉 音の詰まりは音の響く門

 大地を撫で、山肌を舐め、飛翔する灰燼、くたばり損ないの地獄の皇子。
 ともすれば粘土質で産み固められた賢者たちは皇子と愛人である巫女のための指人形であることを欲し、くすんだ輝水晶のなかに閉じ込められた在りし日の松明は贋物の火。
 適度にこの領域は湿度多く波風立たぬが誉れであるのなら、地を這う蛇の繁殖でさえお咎めなしと云うことだろうに。
 野次馬の太陽が身を乗り出して、荒れ狂う熱に嗤う獅子、熱力学的回転翼で逆巻く烈風、云うなれば千変万化、種子生した向日葵。


過ぎた日は地響き 明くる日は間欠泉 民よ 思い知るときが来た

降り注ぐ痴話喧嘩の縺れに 巻き込まれて逝く無実な夫婦
とどのつまりは殿下を連れに舞い戻った悪鬼と小癪な風雨

 赤鬼が覗き込んだ山頂傾き、大気を汚す子鬼どもの呼気。
 はじめに轟きありき、怒号は兄弟間のいざこざに因むと枯渇した街の僧侶。
 焼け残った札は一枚、中腹にある祠に備えよ、さすれば蛟が浮き足立ち、岩石の胃炎を慰めてくれようぞ。
 知ったことか、と毒づく騎士。有り難や、と合掌する紳士。
 丼勘定で掬った溶岩を輝水晶のなかに入れ、持ち運ぶ夕べの侍は疎通区域の枠外に居り、誰もが泥を食っていた時代に嘲笑いながら熱気球を打ち落としていた嗣子の兄弟。
 探検家が沈んでいくのを見届け、酒精を一杯。
 子鬼どもが戻ってくるまで、受精を一回。
 とどのつまりは白亜の時代に遡って思う、趨勢の輪。風情の場。


右手には海 左手には神 足止めされて敵わない 策士の坩堝
 
愛し愛されてしまった溶岩を 稚けな睾丸に塗りたくって はい
とどのつまりは兄の背筋に 弟捕まり不時着して腐敗
葬送曲の準備間に合わず されど素敵な夢を視る 古の記
下山の一行を呑みこんで交わらず 大地創生の術を識る 引き澪の死

 やがて似通ったその情熱も、心中冷めてしまって凝り固まる、
 旅人にとっては幸いの夏。兄弟にとっては災いの夏。

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