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脳内世界地図ミクロ -楡井ズム増刊号-

 
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即興詩篇

『未完成フレスコ』

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 春ですか。いいえ、それは屍です。


 解いた。
 少女が解いたパズルのワンピースを盗み、その生ける内には決して解かれることのない壮大で、残酷な、都市のパズルを。
 在りし日に少女の兄が被ったバケツに水を汲み、聖母の血糊を、神父の精液を、
 溶いた、絵の具で灰色の、街角に佇む、猫背の老人が描いた、デッサンに紅を差す。

 昂奮を知る。恍惚を知る。
 知りてもなお、名もなき少女。

 薫り立つポプラの、
 継母の香水、化粧水、
 啜っては吐く息の、
 なんとおぞましき甘美さよ。

 砕いたアスファルトの裂け目に田園風景が潜む。


 夢ですか。少女の眴せ。


 波濤。胎内。
 旅人は語る。
 宝石はかつて石であったと。
 女神もかつてあどけない少女の御姿で、かの静寂な、寧ろ生気に満ち、満ち溢れた、
 蝶の極楽を駆ける、仔馬の背の実像であったと。

 誰でもなく、誰でもなく。
 巡り来る花の季節に。
 バケツから溢れ出す、色彩と芳香を薄めて薄めきった、宝石の名残に。
 打ち寄せる波に。
 描き出される現しみとして、
 寝返りも打たぬ少女。



 春ですか。いいえ、屍です。




-Blooming Beauty-

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